VIP+によれば、この約5年で10億ドル以上の大型M&A案件は13件もあった。最高額はAT&Tがタイム・ワーナーを買収した850億ドル。これに続くのが、ディズニーがテレビネットワークのFOXを買収した710億ドル。そして、マイクロソフトがゲームソフト会社アクティビジョン・ブリザードを690億ドルで買収オファーしたなど、いずれも巨額である。またアメリカ最大のニュースメディアCBSは、120億ドルの市場価値があるViacomと再統合し、時価総額300億ドルの企業が誕生した。記憶に新しいところでは、アマゾンによる老舗映画会社MGMの買収もある。3月17日に85億ドルで取引を完了したところだ。

 4月10日にはAT&Tが傘下のワーナーメディアをディスカバリーと430億ドルで統合する取引も成立した。実はこの動きは、ニュースメディアCNNのストリーミングサービスCNN+がローンチからわずか1カ月で閉鎖に追い込まれた事情と大きく関係している。

開始からわずか1カ月でCNN+が営業停止した理由

 CNNの立ち位置を一度整理しよう。CNNはもともとAT&T傘下のワーナーメディアにぶら下がるニュースメディアだった。さらにその補完的なメディアとしてSVOD(Subscription Video On Demand、定額制動画配信のこと)サービスのCNN+を開始することを2021年7月に発表し、それから約半年後の2022年3月末にローンチしたという経緯がある。ローンチ後は毎日8~12時間のライブニュースやノンフィクションのオリジナル番組などを提供した。