選別される生保・損保・代理店#11Photo by Akio Fujita

損害保険会社の主要販売チャネルの一つである損保プロ代理店。主な収入源は損保会社からの手数料だが、手数料ポイント制度が導入されて以降、収入が激減する代理店が続出。それは大型代理店においても無縁ではない。特集『選別される 生保・損保・代理店』(全28回)の#11では、深まる損保と代理店の溝の行方を追った。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

手数料ポイント制度を巡り
損保vs損保代理店で深まる溝

 損害保険業界の根深い問題――。それが、損保会社と損保代理店を巡る手数料の問題だ。

 かつて損保会社から損保代理店に支払われる手数料は、一定の基準を満たしていれば一律だった。保険料10万円の自動車保険を販売すれば、代理店に支払われる手数料は約2万円。おおむね20%というのが相場だった。

 つまり、年間の収入保険料が5000万円であれば手数料は1000万円となり、1億円であれば同2000万円という具合だ。「かつては収保が1億円あれば、悠々自適だった」と複数の損保代理店の関係者は言う。

 それも今は昔。代理店手数料ポイント制度が導入されて以降、手数料は大きく変動することになった。先の例に手数料ポイントを掛けるため、獲得したポイントによって手数料の額が大きく変わるようになったのだ。

 保険料10万円の例で言えば、手数料ポイントが60(=0.6)の場合、2万円×0.6=1万2000円となり、手数料ポイントが100であれば、2万円×1=2万円と、これまで通りの手数料が維持されることになる。

 ここで、手数料ポイントが100前後であり、そう大きく変動しないのであれば、大きな問題にはならなかっただろう。ところがだ。損保会社を経て自身も損保代理店を経営してきた、手数料問題に詳しい兵庫県立大学客員研究員の松浦章氏はこう話す。

「代理店の規模が大きくて、増収しなければ手数料ポイントは上がりません。しかもポイントの差は20~120と、実に6倍もの開きがあります」

 手数料が2万円で、手数料ポイントが20であれば手数料は4000円となるが、120ポイントならば、同2万4000円になる。この差は、確かに大きい。

 手数料ポイントを決めるのは、収入保険料の多寡だけではない。代理店の業務品質や各損保の施策の達成率なども加味されている。この仕組み自体に問題はなさそうだが、規模の小さな代理店のみならず、大型代理店も不満を隠さない。

 次ページ以降では、手数料ポイント制度の問題点に加え、大型損保代理店たちが取った方策について、詳述していこう。