選別される生保・損保・代理店#20Photo by Yasuo Katatae

あいおいニッセイ同和損害保険の新代理店制度、中核代理店がスタートしたが、これまでの総轄代理店から移行した代理店は約4割にとどまっている。特集『選別される 生保・損保・代理店』(全28回)の#20では、支社機能の一部を委譲するというこの制度について、代理店側の受け止め方を深掘り取材した。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

あいおいの中核代理店制度がスタート
支社機能の一部委譲は吉と出るか?

 1年半ほど前から、損害保険の代理店を巡る話題としてにわかに浮上してきたのが、あいおいニッセイ同和損害保険の「中核代理店」制度だ。その中核代理店制度が今年4月、いよいよスタートした。

 これまでも、あいおいには地域の中小代理店を取りまとめる役割として総轄代理店という制度があった。地域の核となる代理店に、周囲の中小の代理店をくっつけたり、取りまとめたりする役割を担ってもらう手法だ。こうした手法は、呼称は違っていても、どの損保会社でもやっていることだ。

 もっとも、独立心旺盛な代理店を束ねるのは容易なことではない。後継ぎがいない高齢店主の代理店であってもそうだし、ましてやまだまだ現役店主の代理店であればなおさらだ。だが、あまたある代理店を集約することで効率化を図りたい損保会社からすれば、統廃合を推進せざるを得ない。

 いきおい損保会社が代理店に強引な統廃合を迫るといういざこざが相次ぎ、共産党の大門実紀史参議院議員の元へ駆け込む事例が頻発。国会で取り上げられる事態へと発展し、金融庁も間に入ってとりなすこととなって、強引な手法は以前より目立たなくなった(『「私が損保代理店の統廃合問題に取り組む理由」共産党・大門議員に聞く』参照)。

 だが、統廃合に向けた動きがなくなったわけではない。本特集#11『損保vs損保プロ代理店の深まる溝、「手数料ポイント制度」の影響で代理店の収入激減』で述べた手数料ポイント制度などを使って、じわりじわりと代理店を追い詰め、統合やむなしという方向に持っていこうとしているかのように見える。

 そうした中で、これまでの代理店の統廃合問題でほとんど話題になることがなかった、あいおいが打った手に注目が集まった。冒頭にある、地域の核となる代理店に対し、支社機能の一部を委譲するという、あたかも代理店が課支社の代わりとなるような策に一気に踏み込んだからだ。

 これには、他の大手損保も驚きを隠さなかった。むろん、あいおいの代理店もである。

 中核代理店制度を進める狙いとして、昨年5月の保険特集であいおいの金杉恭三前社長は、「規模さえ大きければいいというのは、乱暴なやり方になると思います。中核代理店は地域を面でどうやってサポートするかという方策です」といった主旨の発言をしている(『あいおいニッセイ同和損保社長が語る、業界注目の「中核代理店」構想を進める理由』参照)。

 もっとも、地域特性に応じて中核代理店制度を進めるという特性上、「やり方はいろいろあって、これだという答えはまだ出ていない段階です」と同インタビューで金杉前社長は語っている。要は、今年4月にスタートするまでに1年を切った時点でも、詳細が詰まり切っていなかったわけだ。地域特性に応じて個別に進めるのは、やはり困難なことなのだろう。

 では、実際にスタートした中核代理店制度の評価はどうなのか。改めて制度の中身と、代理店側から漏れ聞こえてくる話について、次ページ以降で詳述していこう。