共に100人超の募集人を抱える大型代理店2社が、代理店業界初となる事業統合に踏み切った。その理由はいったい何なのか。特集『選別される 生保・損保・代理店』(全28回)の#25では、その狙いについて、両社のトップに話を聞いた。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
フィックスとライフフォース
大型保険代理店同士で初の事業統合
大手生命保険会社による保険ショップや訪問販売型乗り合い代理店の買収は一巡し、かつての1店舗1億円といった“ショップバブル”は過ぎ去った。だが、水面下では「代理店の売り込みは減っていない」と、ある生保幹部は話す。
それもそうだろう。委託型募集人の適正化や、保険業法の改正によって情報提供義務や比較推奨販売などの体制整備が必要になって以降、乗り合い代理店の管理コストは高まるばかり。また、業界への目が厳しくなり、インセンティブといった販売量に応じたボーナス手数料も一時期に比べて減ったため、代理店の収入は伸び悩んでいる。
さらには、医療保険不要論などをうたったユーチューブなど動画の影響も無視できなくなりつつある。そこに新型コロナウイルスの感染拡大もあり、これまで隆盛を誇ってきた乗り合い代理店は、生き残りを懸けた動きを活発化させているというわけだ。
そうした中、大型乗り合い代理店同士としては初となる事業統合が行われ、業界内に驚きの声が広がった。
事業統合に踏み切ったのは、法人分野に強い代理店として知られるフィックス.ジャパンと、個人分野に強いライフフォースサポート。共に募集人100人以上を抱える大型代理店である。
ここでのポイントは、合併ではなく、事業統合を選んだことだ。その理由は何か。次ページ以降で、詳述していこう。