選別される生保・損保・代理店#19Photo by Yoshihisa Wada

乗り合い代理店業界のリーディングカンパニー、ほけんの窓口グループの3代目社長に、伊藤忠商事出身の猪俣礼治氏が就任した。特集『選別される 生保・損保・代理店』(全28回)の#19では、保険ショップの集客が依然厳しい中、どのように窓口のかじ取りを担うのか、直撃インタビューした。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

伊藤忠出身の猪俣礼治氏が
ほけんの窓口3代目社長に就任

 全国に約800店舗に上る保険ショップを展開し、社員数約3700人を誇る、乗り合い代理店業界のリーディングカンパニー、ほけんの窓口グループ。今年4月1日、3代目社長に、親会社である伊藤忠商事出身の猪俣礼治氏が就任した。

 前社長の窪田泰彦氏が、ほけんの窓口の創業者である今野則夫氏から、急きょ経営トップを引き継いだのが、2013年4月のこと。窪田氏は、混乱していた社内をまとめるため「第二の創業」を宣言。それと同時に「お客さまにとって『最優の会社』」との経営理念を掲げて21の改革を実行し、顧客本位の業務運営を徹底して社内に根付かせてきた。

 一方で、業績も順調に伸ばしてきた。新型コロナウイルスの感染拡大により足踏みした以外は、21年6月期決算では営業収益447億円、当期純利益は61億円と右肩上がりを続けてきた。業績拡大と歩調を合わせるかのように、親会社の伊藤忠はほけんの窓口の株式を買い増し、今では76.21%を保有するに至っている。

 窪田氏の社長就任から8年。冒頭に述べた通り、3代目社長に就任したのが、伊藤忠出身の猪俣氏だ。もっとも猪俣氏は、ほけんの窓口の副社長に就任した翌年の19年7月に伊藤忠から転籍。そのすぐ後に、コロナ感染拡大により途中でやめざる得なくなったものの、全国の店舗に足を運んで多くの社員たちと「店舗ミニ集会」を開き、積極的に対話するなど、コミュニケーション能力の高さには定評がある。

 その猪俣新社長は、どういった経営方針を掲げようとしているのか。ほけんの窓口に限らず、保険ショップはコロナの影響により、新規顧客の獲得に苦慮している真っただ中だ。とりわけ対面にこだわってきたほけんの窓口は、その高いブランド力をもってしても集客に苦しんでいる。

 そうした困難な状況下での社長交代。その真意を探るべく、ダイヤモンド編集部は猪俣新社長に直撃インタビューを敢行した。

 なぜこのタイミングでの社長交代だったのか、今後ほけんの窓口をどのように導いていくのか、経営方針は変わるのか。また、5月1日には取締役が全て伊藤忠出身者となったが、その理由は何かについて、次ページ以降であますことなくお伝えする。

――4月1日に猪俣さんが社長に就任されました。なぜ、このタイミングだったのでしょうか。