ヤマダデンキの顧客に対し、家計相談を持ち掛けた後に保険販売につなげるヤマダライフ保険。同社の恣意的な会社運営に募集人たちから非難の声が続出している。特集『選別される 生保・損保・代理店』(全28回)の#27では、その実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
ヤマダライフ保険
募集人「使い捨て」の実態
全国各地にあるヤマダデンキ。家電のみならず、太陽光発電や住宅リフォーム、果ては金融商品の販売に至るまでなんでもござれ。今では、住宅ローンの相談や保険の見直しなど、家計相談すらも受けることができる。
とりわけ大型家電を買い替えるときは、結婚や住宅の購入など生活環境に大きな変化があることが少なくない。すなわち、保険を見直す大チャンスでもあるわけだ。そこに目を付けたのがヤマダデンキだった。2018年8月に保険代理店のヤマダライフ保険を設立し、19年3月には「ヤマダデンキの家計相談窓口」を開始している。
むろん、ヤマダライフに保険販売のノウハウがあるわけもなく、住友生命保険や保険のビュッフェ(FPパートナー、現在の屋号はマネードクター)、光通信グループのニュートン・フィナンシャル・コンサルティングなど、次々と提携先を変えてはノウハウを吸収していった。
そのヤマダライフの販売手法はというと、ヤマダデンキに買い物に来たお客さんに対し、同店の店員が「無料でプロのファイナンシャルプランナーに家計相談できますよ」と声掛けする。そして、ヤマダデンキ内にある家計相談ブースに来店客を誘導し、ヤマダライフの募集人や提携している保険代理店などの募集人が家計相談に応じるとともに、保険の提案を行うという流れだ。
世の中にファイナンシャルプランナーはたくさんいるが、相談したことのある人はそうそういるわけでもなく、「一度相談してみたかった」というお客さんが少なくないという。
保険販売において最大の難関は、こうした保険を販売できそうな見込み客の発掘だが、家電量販店ならば保険ショップよりもはるかにハードルが低く、気軽に相談できると考えるお客さんが多いというわけだ。
そこに目を付けたヤマダの狙いは当たり、月間1万件を超える家計相談があるという。ならば、見込み客があふれるヤマダライフの募集人はさぞかしウハウハかといえば、どうもそうではないらしい。入社してはすぐに退職する募集人が後を絶たないというのだ。
それはなぜなのか。次ページ以降で、ヤマダライフのあきれた実態について詳述しよう。