泊まりがけの出張は貴重な時間
働く母親は1分の余裕もない

 筆者にも覚えがある。泊まりがけの出張の間だけは、こんな感じだった。

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 朝起きてから、ゆっくり身支度ができる。自分のことだけ考えればいい。
 新聞を読みながら朝食のコーヒーを楽しむ余裕がある。
 夜は自分だけの時間を満喫できる。あ~なんてぜいたくな時間!
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 特に、小さな子どもを持つ母親の、出勤前は慌ただしい。ハッキリ言って1分の余裕もない。子どもが2~3歳になると、(うまくできないのに)自分で服を着たり、靴を履きたがったりする。自我の芽生えは成長なので、じっくり見守ってあげたいけれど、時計をにらみながら、「早く、早く」と気持ちは焦る。

 子どもが大きくなっても、弁当作りがあったり、忙しい時に限って学校からの大事なプリントを突然渡してきたり…。帰宅後も似たようなもので、自分が着替える暇も惜しんで、夕食を準備し食べさせ、風呂に入れて寝かし付け、全てが終わるころにはもうヘトヘトだ。人によっては子どもを寝かしつけてから残業したり、せっかくの休みに休日出勤をしたりする場合もあるだろう。

 だから泊まりがけの出張は、家族に対する後ろめたさもある一方で、自分ひとりの時間が持てる喜びもある。コロナ禍で出張がなくなり、このささやかな楽しみがなくなったという人もいるかもしれない。

「家のことはすべて妻に任せてきた」という男性には、この感覚はとうてい理解できないだろう。一方、共働きの男性や、家事・育児にコミットしている男性なら共感してもらえるはずだ。

 さて、可処分時間の話に戻ろう。