
西村美奈子
共働き世帯にとって、介護は育児に並ぶ家族タスクのひとつ。もし、親の介護が必要になったら、あなたは仕事をどうするだろうか?働く女性のセカンドキャリアを支援する著者が、二つの家庭のエピソードを紹介。親の介護で最低限備えておきたい二つのポイントを解説します。

東京都の小池百合子知事が、「育休」ならぬ「育業」という言葉を発表した。「イクメン」なる言葉が生まれ、働き方改革の推進もあり、共働き世帯における男女の役割は昔とは大きく変わってきている。そして、職場でも共働き世帯や子どもを持つ女性への理解は進んでいるかのように思える。しかしながら現実的には、子どもを持つ働く女性にとって、職場に子どもや家庭の事情をどこまで持ち込んでいいのか悩みは尽きない。対極的な二人の女性のエピソードを紹介する。

在宅ワークは、通勤時間という制約がなくなり、「可処分時間」が増えた。可処分時間とは、経済で言う「可処分所得」に相当し、「自分の判断で自由に使える時間」を指す。国の【2030年の経済の姿】では、「健康寿命80歳」の人生が実現し、可処分時間が1割以上増え、金持ちならぬ「時持ち」になると見込まれる、という。在宅ワークで増えた可処分時間を有効に、できれば将来のキャリア形成のために使うべきだ。

「セカンドキャリアだからこそ、自分のやりたいことに挑戦しましょう」と一般的にはよく言われる。だが、「自分が本当にやりたいことが何か、わからない」と言う人が、意外なほど多い。日本人は若者もシニアも「本当にやりたいこと呪縛」にとらわれがちだ。女性のキャリア研修を手掛ける筆者が、三つの解決法を指南する。

「女性活躍推進」は、いまや企業にとっては必須課題のひとつであり、これを表立って否定する企業はないだろう。だが実際は、働く女性の半分以上が、女性活躍の「対象外」という事実をご存じだろうか。女性のセカンドキャリアを支援する筆者が、実際に出会って話を聞いた女性たちのエピソードを交え、「女性の定年」について一石を投じる。

女性がセカンドキャリアを構築するに当たって男性にはない「7つの壁」がある。「人的ネットワークの弱さ」「やりがい喪失感」「女性さらにシニアという二重苦」は、言ってみれば「ワークキャリア上の壁」。一方、残りの4つは「ライフキャリア上の壁」だ。ビジネスの現場で求められるスキルは男性と同じでも、ライフキャリアにおいては、女性には男性とは異なるスキルが求められる。

2021年4月、高年齢者雇用安定法の改正で70歳までの就労確保が企業の努力義務となった。が、会社勤めが安泰になったわけでは決してない。会社に残るにしても、外へ出るにしても、「定年」という節目に向けての準備は必要だ。女性も男性と同様、定年やセカンドキャリアに向き合っていかなければならないが、男性とは異なる、女性ならではの「7つの壁」が待ち受けている。

男女雇用機会均等法の施行から35年。いわゆる「第一世代」の女性が、これから続々と「定年」を迎える。アラフィフ・アラカン女性がセカンドキャリアを手にするには、どうしたらいいのか。3人の女性のストーリーを追いながら、理想と現実を見つめてみよう。
