就活本に初めて「自己分析」の考えを取り入れた本として
14年連続大学生協第1位のベストセラーを誇る『絶対内定』シリーズ。
ただ内定をとるためだけではなく、「心から納得のいく進路が見つかる」「本当にやりたい仕事がわかる(やりたいことに気づける)」「自分らしく働ける会社と出合える」「入社してから『こんなはずじゃなかった』と後悔しない」ための1冊であることが大きな特徴だ。
キャリアデザインスクール「我究館」のもつ、1万人以上におよぶ就職・転職指導の経験を活かしたノウハウが、このシリーズには詰まっている。
コロナ禍で価値観が大きく変わるなか、会社選びも大きく変わってきている。
自分らしい働き方とは、生き方とは…、
今、じっくり自分と向き合う時間を『絶対内定』と過ごす就活生が増えている。
(構成/藤本健司、ダイヤモンド社・朝倉陸矢)

【高スペック学生が次々と陥る落とし穴】慶應、早稲田……なぜ、高学歴の就活生が就職留年してしまうのか?Photo: Adobe Stock

就職留年生の共通点とは?

今年で31期生を迎えている我究館には、毎年約200人近くの学生が入館する。そのうち1割以上は就職留年の学生だ。ほとんどが、GMARCH以上の大学に通っている学生である。そして、特に慶應義塾大学と早稲田大学の学生が多い。意外に思われるかもしれないが、留学経験があったり、部活動を行っていたりする学生もいる。さらには、内定をいただいたにもかかわらず就職留年する学生もいる。

一見すると、苦戦しなさそうな学生たちである。それなのになぜ、就職活動でつまづいてしまったり、内定を得たにもかかわらずもう一度就職活動をしたりするのか。

それは、学生にとって最も大事なことが「納得感」だからだ。自分がどこで何の仕事をしたいかが不明確なこと。また、そのやりたい仕事が、入社予定の企業で実現可能かが不明確であること。これらが、我究館に来る就職留年生の一番の共通点だ。

最終面接に落ちて、はじめて味わう挫折

就職留年の学生には、「先輩や同期がうまくいっているのを見ていたので、自分も大丈夫」だと過信していた人が多い。事実、学生とはじめて会ったときにこの言葉を頻繁に聞く。もっとストレートな言い方をすると、「就職活動をなめていた」と表現してもいい。

「なんやかんや内定は取れるであろう」と思って就職活動を行っていたら、納得いかない形で終わってしまう。とりわけ、就職留年する学生は、選考の最初の段階ではなく最終面接で落ちる経験をしていることが多い。「あと少しで、内定できたのに……」という大きな挫折経験が原動力になっている。

では、なぜその学生たちは最終面接で落ちたのか? どんな落とし穴にはまってしまったのだろうか。それは、「内定をもらおうとしていて、仕事しようとしていなかった」からである。目的意識の違いがその原因なのだ。

「内定するためにどうするのか」という視点と、その企業で「仕事をしよう」としている視点では、準備の仕方がまったく異なってくる。「当たり前だ」と思うかもしれないが、人は余裕がなくなると視野が狭くなりがち。将来の不安を払拭するために、「とにかく内定を取る」ことの優先順位が上がり、目的を間違える。このようなことはよくある。

ただ、どれだけ忙しくても「何のための就職活動なのか」ということを忘れないでほしい。企業は一緒に働く人を探していて、就活生は自分が仕事をする場を探しているはずだ。ゆえに、「自分がどの会社で何の仕事をしたいのか」という問いに明確な答えがないまま、就職活動をしていること自体おかしいのではないか。

入社後は毎日8時間以上、週5日仕事をすることになる。人生の大半を費やす仕事をするうえで、「何のために、どう過ごしていきたいのか」について真摯に向き合うのは、就活において極めて重要だ。