生前贈与#5Photo:PIXTA

贈与税のルール改正で孫への贈与はどうなるのか――。生前贈与と聞けば、子どもへの贈与を想像する人が多いだろう。しかし「相続人以外」への贈与にも節税効果があるためニーズは高く、相談が殺到している。特集『生前贈与 節税チャンスは今のうち!?』(全7回)の#5では、相続人以外への贈与の扱いはルール改正でどう変わる可能性があるのかを追った。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

「週刊ダイヤモンド」2022年4月30日・5月7日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

孫、息子の妻、事実婚の妻、家政婦…
生前贈与のルール改正で相談殺到

「これまでの生前贈与は、制度改正でどうなるんでしょうか」

 生前贈与のルール改正をテーマにしたセミナーを開催している税理士法人レガシィの天野隆会長によれば、参加者からはこんな相談が殺到しているという。

 そして内容をよくよく聞くと、実は「相続人以外」への生前贈与を巡る相談が、かなりの割合を占めるそうだ。

 相続人以外とはいったい誰のことを指すのか。

 最も多いのは孫への生前贈与だ。次いで、子どもの配偶者、事実婚の妻、家政婦の順に相談が多いのだという。

 遺産を相続できる相続人は法律で厳格に決められている。もしも相続人以外に財産を残したいと考えていても、遺言書を残さずに亡くなってしまえば、その願いはかなわない。

 献身的に介護してくれた子どもの配偶者や事実婚の妻、家政婦に財産を残したければ、遺言書を作成して財産を渡すことを記しておくという方法がある。

 しかし遺言によって、配偶者や子どもではない第三者に財産を譲る遺贈の場合、相続税が2割加算されるというルールがある。加えて、遺言書が効力を発揮するのは自らが亡くなった後であり、紛失などのリスクも付きまとう。

 そこで、相続人以外に確実に財産を渡したい場合、生前贈与は安心できる方法の一つなのだ。