生前贈与#7Photo:bee32/gettyimages

生前贈与は相続税を節税する有効な手段だ。特に、住宅資金、教育資金、結婚・子育て資金の「一括贈与」には、今しか使えないお得な非課税枠がある。便利な節税術はいつまで使えるのか。特集『生前贈与 節税チャンスは今のうち!?』(全7回)の#7では、一括贈与の三つの節税術の利用状況から今後を探った。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

「週刊ダイヤモンド」2022年4月30日・5月7日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

住宅資金「一括贈与」の優遇ルール改正で
「築21年以上」中古マンション売り物件が増加

「今が中古マンションの売り時だと考える人が増えている」

 こう語るのは、東京都内のある不動産会社の役員だ。

 マンション価格の高騰が止まらない。不動産経済研究所のまとめによれば、2021年の首都圏の新築マンション平均価格は前年比2.9%増の6260万円で、過去最高値を更新した。東京23区に限れば同7.5%増の8293万円と、簡単には手が届かない“高根の花”になっている。

 新築マンションの高騰を受け、割安で広さを確保できる中古マンションのニーズが高まり、こちらも相場が上昇中だ。

 東京カンテイによれば、21年の中古マンション平均価格(70平方メートル換算)は前年比11.6%増の4166万円。東京23区は同9.8%増の6333万円で、ひと昔前の新築並みの価格になっている。

 高く売れるとあって、売り物件が増加中だ。首都圏の22年2月の中古マンション在庫件数は、前年同月比2.6%増の3万7259件で、27カ月ぶりにプラスに転じた(東日本不動産流通機構調べ)。3月も同8.5%増の3万7660件と、在庫減から在庫増へとトレンドが変わりつつある。

 そして、前出の役員によれば、最近になって売り物件として増えてきた中古マンションには特徴があるという。「築21年以上」の物件だ。これには22年の税制改正が影響している。