一流は「警備員を名前で呼ぶ」
二流は「警備員さんと呼ぶ」

 三つ目のポイントは、「警備員を名前で呼ぶか否か」です。警備員がビジネスパーソンと話す機会があると、たいてい「警備員さん」「警備さん」と呼ばれます。制服にはネームプレートがあり、私の名前が「堀田」であることは相手に伝わっている状況でも、「警備員さん」と呼ばれます。

 もちろん相手に悪気がないのは承知していますが、それでも「名前を呼ばれない」というのは意外と悲しいものです。海外の刑務所では、人間としての尊厳を奪うために囚人を名前ではなく番号で呼ぶことがあるそうです。私は自分の名前を呼ばれないことについて、それと同じような印象を受け、尊厳を傷つけられているような思いがしていました。

 しかし、一流ビジネスパーソンの方は違うのです。例えば、防災センターに落とし物を取りに来た外資系銀行の取締役がいました。取締役の身分確認をしてから落とし物のスマホを返却すると、彼は初対面の私に「堀田さん、ありがとうございます」と言ったのです。

 私のネームプレートを見て名前を確認したのだと思います。このとき私は、自分の存在を認められたようで、飛び上がるほどうれしかったのをよく覚えています。

 また、一流の人は総じて警備員にも丁寧語で話してくれます。“タメ口”や尊大な物言いをすることはまずありません。一流ビジネスパーソンは自分より立場が低い人であっても、必ず相手の人格を尊重したコミュニケーションをとってくれるのです。

 もし、警備員に尊大な態度をとっている人がいたら、100パーセント二流の人材です。そういった人は、社内の部下にも同じような態度で接しているのでしょう。人は往々にして、自分より立場が低い人に対して傲慢(ごうまん)になりがちです。傲慢であるか否かを見極めるには、警備員への態度を見れば一目瞭然だといえます。

出世できない
「器の小さい人」にありがちな言動

 長いこと警備員をしていると、「こいつは器が小さいな」「出世しないだろうな」と思わせる人を見ることがあります。高層ビルにはさまざまな場所に監視カメラが設置されており、警備員はリアルタイムでビジネスパーソンの言動をモニターで見ているのです。

 よく見かけるのが、誰も見ていないと思って、たばこの吸い殻やゴミをポイ捨てする人。「バレなければ何をしてもいい」という発想の持ち主は、仕事でも隠ぺい体質なのは間違いありません。警備員は見ています。

 床にコーヒーをぶちまけたのに放置して逃げる人。掃除をせずに立ち去れる神経の持ち主は、仕事でも無責任体質な可能性大です。警備員は見ています。

 多目的トイレにこもって出てこない人。何をしているか知りませんが、サボらないで仕事をしてください。警備員は見ています。

 エレベーターの中で、必ず「鼻くそ」を食べるキャリアウーマン。人前で食べないのはさすがです。もしかしたら、TPOをわきまえた振る舞いができる礼儀正しい人なのかもしれません。でも、警備員は見ています。

 中でも特に「器が小さいな」と思うのは、「キレる人」です。