私の勤めていた高層ビルは、通勤時にエレベーターが混雑するため、警備員がエレベーターの前で交通整理をします。1台のエレベーターの乗車定員は限られているため、一定の人数が乗車したら別のエレベーターに人を誘導します。

警備員が見た「仕事ができない人」3つの共通点、何気ない態度で即バレ本連載の著者・堀田孝之氏の体験談をまとめた書籍が発売されています。『気がつけば警備員になっていた。』(笠倉出版社)

 そのときに、「まだ乗れるだろう」と警備員の誘導を無視する人が時折います。

 遅刻してはならないと急ぐ気持ちはわかりますが、あるとき、ある男性が警備員の誘導を無視した結果、「ブー」と重量オーバーを告げるブザーが鳴り、その間に次のエレベーターも満員になりました。

 すると彼は「ふざけるな!」と激怒してきたのです。誘導を担当していた私は、なぜ自分が「キレられ」ているのか皆目見当がつきませんでした。

 彼いわく「お前の誘導が悪い」とのこと。私は立場上、平謝りするしかなかったのですが、彼のような「器の小さい人間」は、仕事上の失敗を他人のせいにする二流の人材なのだろうと思ったものです。

 怒りをコントロールできない人は、間違いなく小物です。みなさんも、エレベーターの順番待ちなどのささいなことで上司が怒り狂っていたら、「はは、小物がいる」と心の中で笑ってやりましょう。

ビジネスパーソンが
一流になるために心がけること

 もしあなたが一流ビジネスパーソンを目指すならば、とにかく、警備員のような、自分よりも立場の低い人の気持ちを想像して働くことが大切です。

 斬新なアイデアやサービスというものは、いつの時代も誰かの「困り事」を解決するために生み出されたものではないでしょうか。多くの場合、困っているのは強者ではなく、弱者です。

 そのため、弱者の気持ちを想像できない人には、優れたアウトプットを生み出すことができないのだと思います。相手の心情を想像する習慣をつけ、まずは警備員にあいさつすることが、一流になるための第一歩だと私は思っています。