リーマンショックは「コンサル切り」で大波乱
コロナショックでは…?

(1)コロナ禍の今、コンサル業界は大丈夫なのか?

 就活学生がどこまで理解しているかはわかりませんが、一般的にコンサルティング業界では、大不況の当初ではものすごい「冬の時代」が一気にやってきます。リーマンショックを例に挙げた上で、コロナショックとの違いをその後で語ってみます。

 リーマンショック当時、コンサルにとってのクライアントである大企業の各社で、売り上げが急激にしぼみました。どの大手企業でも緊急避難的に「削れる経費をできるだけ削る」という動きが出てきて、派遣切りだけでなく「コンサル切り」が起きました。新卒の内定切りにまで踏み込んだ大企業も出てきたぐらいですから、これは仕方がないでしょう。

 結果として、コンサルティングファーム内でも稼働率が下がり、コンサルの社内失業が広がります。クライアントに日頃提言しているリストラ策は、当然のようにコンサルの社内にも適用されます。

 不況に強い業界や、諸事情で継続されるプロジェクトにコンサルのリソースを集中する一方で、余剰コンサルタントにはやんわりと退出が促されるわけです。

 そして、コンサル業界は過去に経験しなかった求職難に直面します。コンサルタントの転職は難関を極めました。私もこの時期に友人の転職相談に乗ったのですが、とにかくまともな大企業の求人がなく、かといって有望ベンチャーも幹部人材を雇う余力がないわけで、転職相談にはかなり難儀した記憶を持っています。

 では、今回のコロナ禍はどうでしょうか。実は、リーマンショックの際に大企業が急速にコンサル案件を切り過ぎて失敗した記憶から、今回はやや状況が違ったようです。

 リーマンショック勃発時、多くの企業はIT案件をストップさせました。しかし、その間に世の中の事情も変わり、コンサル側のメンバーも入れ替わり、結局再開できないという大失敗を経験した企業も少なからずありました。

 一方で、コロナ禍では生き残り策としてデジタルトランスフォーメーションが絶対的に必要だったこともあり、ITコンサル業界に関してはリーマンショックと比較すればコロナ禍は生き残りやすかったという話を聞いています。

 今は、アフターコロナに向けていろいろと企業も新たに取り組みたいことが出始めている状況です。なので、来年の春にコンサル会社に入社するというのはタイミング的には悪くないと私は思います。