国民の消費対象が「モノ」からシフトしている米国では輸入が落ち込みそうだ。結果的に米経済の成長がさらに加速する可能性がある。新型コロナウイルス禍を受けて、さまざまな消費財の需要が急増した。人々が旅行や外食への支出を減らす一方、巣ごもり生活をより快適なものにしようとしたためだ。政府の給付金も消費を後押しした。こうした消費財の多くは米国外の製品だった。コロナ禍で消費財需要が増えた結果、米国の貿易赤字は大幅に拡大した。商務省によると、貿易赤字の国内総生産(GDP)比は2020年1-3月期時点で2.5%だったが、22年1-3月期には4.9%まで上昇した。インフレ調整後の貿易赤字はこの2年間、GDPを2.5%程度押し下げてきた。貿易赤字のGDPへのマイナス寄与がこれを上回ったのは、過去には1980年代初頭しかない。当時の状況は今と全く異なり、米国の対日貿易赤字が急増していた。