「誰かが誰かをいじめた」という話が出ること自体は、K-POPグループでは珍しいものではない。ただし、過去にいじめをやっていたことが発覚して、人気が凋落(ちょうらく)したK-POPアイドルもおり、韓国ネットは意外と倫理に厳しい。

 それとは反対に、過去のスキャンダルが作り話だったという例もあり、アイドル本人やファンなども巻き込まれての足の引っ張り合いが散見される。

 韓国芸能界は過酷なほどの競争社会で、人気の上下動が激しい。そのスタートラインに立っているアイドルたちも、特に緊張にさらされており、そのストレスは尋常ならざるものだ。

韓国ガールズグループが
日本の若者に支持された理由

 韓国エンターテインメントでは完成度が重要で、欠点がないことがよいとされている。特にガールズグループにおいては、歌や踊りの技量はもちろんのこと、ルックスや身長も重要になる。

 そうなると、整形は、程度の差はあるものの多少は必要なものだと認識されている。日本ではむしろ「愛嬌」として許容されるルックスの要素も、韓国では「欠点」になる。宮脇が整形手術をしているかどうかはともかく、韓国でトップアイドルになるためには整形することもやむをえないと考える人は少なくない。

 2020年、ダイヤモンド・オンラインに『K-POPが日本の若者を熱狂させる理由、BTS・TWICE・アイズワン…』という記事を寄稿した頃は、K-POPは日本の若者層を中心に数多くのファンを取り込むのに十分な勢いがあった。

 当時、K-POPが日本の若者層を取り込めた主な理由は、日本のアイドルの魅力の低下だった。昔と変わらない「ポンコツさ」などを表に出す、「オヤジ目線」で演出された日本のアイドルに、多くの若者は魅力を感じられなかった。

 その一方で、K-POPのアイドルは、見た目のみならず、ダンスパフォーマンスでも圧倒的な実力を持っていた。そのエンターテインメント性の高さをYouTubeなどで知った若者たちの間で、一気にK-POPの人気が高まった。

 5月刊の拙書『14歳からのアイドル論』(青林堂)で、私は日本のアイドルのあり方を論じて、日韓におけるアイドルの違いも論じた。その中で詳しく触れたが、日本のアイドル文化には、その根本に「未成熟の一生懸命を応援する」という日本独特のアイドル消費のあり方がある。最初から完璧を求める韓国のアイドル文化とは、大きく異なっているのだ。