国際市場におけるJ-POPブームは、サブカルブームとともに起こった「偶然の産物」だったが、K-POPブームは意識して生み出されて、十分な戦略と予算のもとで進められたものだった。

 ただし、その裏には韓国のガールズグループが国内での激しい競争で磨かれていたことがあったのは見逃せない。

 韓国では、少女時代が登場する前から、S.E.S.(エスイーエス)を筆頭に、Fin.K.L(ピンクル)、Baby V.O.X、Sugar、JEWELRY など実力のあるガールズグループが続々と誕生して、しのぎを削っていた。韓国側は世界的なJ-POPブームを見て、韓国ガールズグループを世界市場に出すチャンスだと見て売り込みに乗り出し、政府も韓国エンターテインメントの国際化を後押しした。

 ただし、日本におけるK-POPブームは他国とは少し違いがある。たとえば、2010年以降であれば、日本で一番人気となった韓国ガールズグループは、韓国側が一押ししてパフォーマンス力が高かった少女時代ではなく、人気・実力が2番手以降で少女時代のフォロワーだったKARA(カラ)だった。

 日本デビュー当時のKARAは、少女時代のようなハイヒールの脚線美ではなく、脚が短く見えるスニーカーでヒップダンスを中心に「かわいい」を全面に押し出していた。これが「未成熟の一生懸命」を応援するという日本のファンに響いたのではないだろうか。

 この頃は「韓国エンターテインメント」としてK-POPを消費していたというより、韓国ガールズグループの中にたまたま日本人好みのグループがいたという状況に近い。

 実際、日本において嫌韓ブームが起きると、KARAを含む韓国ガールズグループの人気は急速に衰えて、「未成熟の一生懸命」における「応援される競争」でしのぎを削るAKB48が国民的グループとして君臨することとなった。

 経過を見ると果実を韓国に横取りされたような印象も与えるが、「未成熟の一生懸命を応援する」というアイドル消費のスタイルが中心であるうちは、日本の「ガラパゴス化」は避けられないだろう。