ヨコのつながりで得た学びが、部下との1on1に自然に生かされる

 プロデューサー役の保井さんは、うまくいった理由をこう教えてくれました。「1対1で話していたら、たとえば先輩のマネジャーに“あなたのやっていることって、メンバーはきっと傷ついてますよ”などとストレートに伝えることは憚られる。でも、2on2のもう一組は、外部者として率直に伝えることが役割なので、“私はメンバーがすごく傷ついているように聞こえました”みたいなことが気兼ねなく言えたりします。率直なフィードバックを通じて、個人の強みと弱みを互いに認識し、深め合うことができる。だから当事者のマネジャーもどきっとするし、他者の感想や意見は素直に納得できるので、どんどん広がっていった、ということだと思います

 4回の2on2の後にとったアンケートでは、「2on2で学びや気づきがあったか」という問いに対して25%が「大いにあった」、70%が「実感が持てた」。また、「マネジメントに変化があった」という回答も70%近くに及んだそうです。

 一方、メンバー側からは、この施策の実施後、「1on1が有意義な場になっている」という回答が74%を占めました。

「キャリア支援であったり、メンバー自身の気づきであったり、相互理解による心理的安全性みたいなものをちゃんとつくって、なんでも発露できるというような場ができれば、営業の内容も豊かになる。これがお客様に近いところに発生しているということが事業にとっては重要で、リクルートで大切にしている個の尊重という考え方に通じています」(中島さん)

 2on2によって対話の価値を再発見したマネジャーは、ヨコの関係から得られたフィードバックを1つの糧として1on1というタテの対話をより実りあるものにする。そんな好循環が生まれているようです。

 中島さんと保井さんは、「人はそれぞれ強みを持っており、互いに補い合いながら、それぞれががんばれること、がんばりたいことを引き出し、集中できる環境をつくることにこだわっていきたい」「他のマネジャーと感想や意見を交換することは、こんなに学びになるんだ」といった組織長たちの体感も踏まえて、1on1をさらに強化していく考えです。