赤ちゃんの足写真はイメージです Photo:PIXTA

菅義偉前首相の肝いり政策だった不妊治療の保険適用がこの4月から開始された。高額な費用がかかり患者に多大な負担を与えてきた高度生殖補助医療にも適用されるとあって注目度が高い。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第242回では、不妊治療夫婦にとっては期待の高いこの制度改変の内容を詳しく解説する。(フリーライター 早川幸子)

4月から不妊治療が保険適用開始に
これまでと何が変わったのか

「長年の課題であり、私が総理大臣の時に道筋をつけた不妊治療の保険適用について、今年の4月から実施される具体的な内容が本日決定しました。#不妊治療 #保険適用」

 これは、2月9日に答申された2022年度の診療報酬改定を受け、同日に菅義偉前首相が投稿したツイッターでの発言だ。

 日本の出生数は、2016年に100万人を割り込んでから、減少の一途をたどっている。2021年は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、81万1604人まで減少。1人の女性が一生涯に産む子の数を示した合計特殊出生率は1.30で、少子化は深刻な状況にある。不妊治療の保険適用は、少子化対策の一環として、菅氏が首相時代に着手した取り組みだった。

 これまで、不妊治療に関する医療費は、医師が妊娠しやすい時期を指導するタイミング法など一部を除いて健康保険が適用されていなかったが、今年度の診療報酬改定で適用範囲が見直され、体外受精や顕微授精などの、高額な医療費がかかる高度生殖補助医療にも拡大されることになったのだ。

 保険適用の拡大によって、不妊治療の経済的負担は軽減できるようになるため、治療を希望する人はとっては朗報だ。ただし、利用できる人の年齢や治療法には要件があり、だれでも自由に治療を受けられるわけではない。

 不妊治療に関する健康保険は、どこまで利用できるようになったのだろうか。具体的に見てみよう。

●43歳未満の女性なら、回数制限つきで高度生殖補助医療も保険適用に
●高額療養費が適用されると50万円の体外受精が約8万円の自己負担で済む