例えば、出来事の構図を単純にしすぎて、断言しているメディアである。社会の出来事はたいてい複雑なものであり、原因の特定も一筋縄ではいかないものだ。

 次に、「要注意ワードが含まれているメディア」にも注意が必要だ。「真実」「正体」「化けの皮」「しがみつく」などの強い言葉を使う記事が特徴である。日常会話で使わないような用語を使っていること自体が良識から外れているといってもよい。

 そして、「匿名の証言やソースが不明なメディア」にも注意したい。きちんとした専門家であれば、自分の肩書と実名を出すはずだ。なかには、記者の頭の中ででっち上げた「関係者」「専門家」という場合もある。

◇SNSの落とし穴 人間関係用と情報収集用で使い分ける

 ネットの情報は偏りが大きい。さらに深刻なのは、ネットの怪しげな情報がSNSの人間関係を経由することだ。最初期のSNSは人間関係のインフラだった。しかし、現在ではいつのまにか「人間関係のインフラ」の上に「情報のインフラ」が重なり、人間関係を通じて情報が流れている。すると「どういう人間関係をつくっているか」で流れてくる情報が決まってしまう。21世紀では、情報でさえも「分断」されているのだ。

 ではこの状況にどう対処すればよいのか。まずはSNSを「人間関係用」と「情報収集用」に使い分けることだ。フェイスブックは実名中心であるため、ここで情報収集するのはあまり賢くない。またインスタグラムは個々人の感情を伝えるSNSだ。イメージをシンプルに伝えるための人間関係のSNSと捉えよう。LINEも人間関係のSNSで、親しい人たちと連絡を取り合うツールである。

 情報収集のSNSにはツイッターを使うとよい。炎上などネガティブな印象が強いが、情報収集のツールとして割り切ろう。そうした戦闘的なものは無視して、「いい情報」だけを拾い集めればよい。

◆ネットは「何を」見ればいいのか
◇サイトの記事は「何を」「どう」見ればいいか

「プッシュ情報」と「プル情報」というメディアの用語がある。プッシュは何もしなくても勝手に押し寄せてくる情報を意味する。これに対しプルは自分が能動的に集めていく情報を指す。ネット時代になりプッシュ情報は爆発的に増えた。プッシュ情報の洪水に押し流されず、良質なプル情報をとりにいくスキルが必要となる。