適正睡眠時間の
調べ方とは

 では、自分に合った睡眠時間をチェックする方法とは。

「条件を整えるのが難しく長期休暇などの期間にしか行えないのですが、探す方法はあります。5日間、毎晩同じ時刻に就寝し、朝は目覚ましをかけないで眠れるだけ眠るのです。これを5日間繰り返して、6日目の睡眠時間が、その人の適正睡眠時間だといわれています」

 就寝時刻は「眠くなったとき」がベストタイミングなので、厳密に一定でなくても問題ないという。とはいえ就寝・起床サイクルを考えると、あまりにも早寝になるのは良くない。時間を定めておくと計測がしやすいだろう。

 チェックにこうも時間がかかってしまう理由は、多くの人が抱えている“睡眠負債”を、ある程度まで“返済”する必要があるからだ。

「現代の働き盛りのビジネスパーソンだと、慢性的に睡眠不足の人が多いでしょう。まずは数日かけて、効率的に眠りを導くために必要な分を除いた睡眠負債を返済します。この返済に5日くらいの時間を要するのです。こうして、最も眠りにつきやすい状態を作った上で満足するまで眠ったときの睡眠時間が、その人にとっての『適正睡眠時間』となります」

 この方法で適正睡眠時間を調べると、大半の人が6~8時間という幅のなかで落ち着くという。このやり方を試しても、6時間未満しか寝ていないのに難なく起きられたり、反対に8時間以上眠ってしまったりする人は、ショートスリーパーやロングスリーパーといった特異な体質である可能性が高いそうだ。

 加賀氏によれば、6日目に判明した睡眠時間が適正かどうかを確認するためには、下記の四つのチェック項目があるという。

(1)入眠時間が10~15分前後かどうか
(2)夜中や早朝などに目が覚めず睡眠の持続性があるか
(3)朝起きたときに熟睡感があるか
(4)日中に眠くならないか

 6日目の起床後からこのダブルチェックを行い、6日目の日中や晩に一つでも引っかかる項目がある人は、まだ睡眠時間が適正になっていないそうだ。その場合は調査期間を延長したり、睡眠時間を調整したりすると、適切な睡眠時間が見つけられるという。

「6日目の睡眠時間が適正睡眠時間より少ない場合、熟睡感がなかったり、日中に疲れや眠気を感じたり、5分以内で眠りにつくなどが挙げられます。一方、入眠までに20分以上かかったり、寝ている途中で目が覚めてしまったりする場合は、睡眠時間が長過ぎるかもしれません。睡眠時間の増減は15分刻みで行い、翌日の様子を見て、さらに延ばしたり縮めたりしてみてください」