忙しい人が睡眠の質を
上げるための二つの方法

 日々の睡眠時間が体に合っていないと、疲れが取れなかったり、日中も睡魔に襲われたりと、数々のトラブルに見舞われる。そのほかにも、人体に現れる不調は枚挙にいとまがない。

「特に睡眠不足の場合は深刻で、仕事のパフォーマンスが落ちる、怒りっぽくなる、疲れやすくなる、記憶力が下がる、食べ過ぎが増えて太りやすくなるなど、とにかく良いことはありません。こういった不調が重なると、副次的に他の不調にも関係してきます。たとえば、暴飲暴食が行き過ぎて高血圧や高血糖になり、心筋梗塞を引き起こすなどです」

「睡眠不足は死亡リスクを高める」とよくいわれるが、「自分はショートスリーパーだ」と思っている人は今の睡眠時間を見直さないと、命を落とす恐れすらあるのだ。

 とはいえ、仕事が忙しければ、思うように睡眠時間を確保できない人も多いだろう。自分にとっての最適な睡眠時間が分かってもその時間を十分に取れない人に、打てる手はあるのだろうか。

「ちまたでは『睡眠は質が高ければ、時間は短くてもOK』というような話も見聞きするでしょうが、それは間違いです。“十分に眠る”という以上の睡眠改善はありませんし、それができた上でしか質は上げられません。“質よりも時間が重要”という大前提のもと、効果が期待できる方法が2つあります。一つ目は昼寝です。日中、就寝の9時間前までに20分以内の昼寝をすると、疲れが取れやすくなります。ただ、時間を守らないと逆効果なので、要注意です」

 そして二つ目が、睡眠の質を下げる要因を取り除くことだ。

「夕方以降はカフェインの摂取を控える、夕食は脂っこいものを避け、就寝の3時間前までに済ませる、寝酒はしない、入浴時のシャワーの温度は熱くしすぎない、吸湿性に優れたコットンや羊毛などの寝具を使うなど、気をつけられる点は山ほどあります。しかし一番は、『睡眠不足を過度に気にしない』ということが何より重要です」

 眠ろうとしても眠れないストレスが原因となって『精神生理性不眠症』という睡眠障害を発症することもある。眠りについて過剰に気にしすぎるのは禁物だ。睡眠時間が取れない場合も、床についたらリラックスすることを心がけよう。

 適正睡眠時間の調べ方は、まとまった休みが取れたときでないと実践が難しい。今夏のお盆休みやシルバーウイークなどを活用して、自分自身の適正睡眠時間を調べてみてはいかがだろうか。