重いアベノミクスの「負の遺産」
インフレに金融緩和解除できず
安倍晋三元首相が銃弾に倒れる中、安倍政権で打ち出された異次元緩和などのアベノミクスに改めて焦点が当たる。
テロリズムは許されない行為だが、一方で政策論としてアベノミクスの評価は冷静に行われなければならない。
政策としての限界を象徴的に示すのが、コロナ禍からの経済回復の遅れと円安、物価上昇に対する対応の行き詰まりだ。今や世界の先進国の中で、日本だけが金融緩和を解除できず、金融緩和で“インフレ対策”を行うという前代未聞の状況に陥っている。
アベノミクスのもとのこの10年近くの間に株価は上がったが、産業競争力は低下し実質賃金も下がり続けている。あげくの果てに財政金融は破綻に近い状況だ。
アベノミクスの「負の遺産」を直視しなければ、日本経済はますます困難に陥ってしまうだろう。