進化し続ける組織の「3つの条件」は?進化し続ける組織の「3つの条件」は? Photo by Teppei Hori

「システム思考」や「学習する組織」は、得てして難解な印象があるかもしれません。そこで、「ダイヤモンド・オンライン 経営・戦略デザインラボ」のイベントに登壇した、MIT経営大学院上級講師であり、世界的なベストセラー『学習する組織』の著者であるピーター・センゲ氏の約90分にわたるレクチャーを、センゲ氏と交流の深い3人が鼎談。それぞれの解釈とともに、「学習する組織」の実践方法について語ってもらいました。その模様を前編・後編の2回に分けてお届けします。(進行/福谷彰鴻、構成・文/奥田由意、長谷川幸光)

※本記事は、2022年6月8日に開催されたオンラインイベント「テクノロジーの進化と学習する組織」の内容を基に再編集したものです。
※ピーター・センゲ氏のレクチャー内容はこちらの特集でご覧いただけます。

「挑戦を応援しよう」という場があれば
「始めてみよう」という意志が生まれる

――前回、「私」「私たち」「もっと大きな世界」の3つのレベルのシステムがあり、それぞれが密接に関わり合っていること、「私」が「私たち」に変わる瞬間などについてお話くださいました。

三名Photo by Teppei Hori

井上英之(以下、井上) チームでできることに関して、ふと思い出したのが、「応援フル」というキーワードです。

「and Beyondカンパニー」という集まりがあります。2018年に発足したもので、ロート製薬やNTTドコモ、西濃運輸や竹中工務店などがコラボレーションして、立場や組織の垣根を越えてつながり、誰かの妄想から、新しいことを始めてみよう、それを互いに応援しようという場です。

 彼らが大切にしているのが、「応援フルな」場をつくろうということです。挑戦している人を、その姿を上から見て判断してから応援しようとするのでは、なかなか挑戦する人は増えない。逆に、「挑戦を互いに応援しよう」という場が最初にあれば、自分も「始めてみよう」という意思が生まれるのではないか。そんな文化や仕組みを作っていこうという、おもしろい試みです。

 ロート製薬の山田邦雄会長は、この集まりで、本当に思っていることを語れる場所が社内にあればいい、それだけで物事が変わっていく、といった話をされていました。