祇園祭の経済効果は莫大だが
山鉾を運営する町会はもうからない

 祇園祭は日本の伝統文化の継承として、非常に大切なお祭りです。しかし、その維持には巨額の費用がかかり、その大半は京都の裕福な町衆のポケットマネーで賄われています。33基ある山鉾は、それぞれ100m四方程度の小さな町単位で何百年もの間、保存され受け継がれてきています。

 かつては、それぞれの町の顔役的な商家の家業がスポンサーとして山鉾を支えていました。現在ではそれらの商家の跡地はマンションやオフィスビルとなり、店子がもたらしてくれる家賃と人手が祇園祭を支えてくれているというのですから、時代は変わったものです。

 祇園祭のコンテンツとしての山鉾は、このように非営利的に運営されています。それぞれの町会は、縁起物のちまきや屋台でビールや唐揚げを販売しています。収入は費用に比べればいかにも小さそうです。

 一方でその集客力は莫大です。宵山の夜は30万人前後、山鉾巡行には10万人を超える観衆が京都中心部に詰めかけ、京都の観光経済に多大な恩恵をもたらします。

 京都市内の宿泊客数は、通常であれば1日平均4万人程度ですが、この連休は私の泊まったホテルでもほぼ満室。実は私は祭りの前から京都に滞在していたのですが、ホテルは明らかに土曜日から宿泊客で激混みになりました。

 祇園祭の経済効果は、関西大学の宮本勝浩名誉教授が約139億円と試算しています。宿泊費、そして観光客が市内に落とす飲食費や土産物費など単純計算で、観光客1人当たり1.8万円になります。

 祭りの一番の見どころである山鉾巡行は巡行ルートに沿って有料の観覧席約1万席が設けられます。一般席の料金は4100円で、コンビニなどで予約販売されるのですが、前述のようにこれが事前で完売です。

 ちなみにプレミアムな席は当然のように存在して、音声ガイド付きの席が9500円、巨大な山鉾を回転させる辻回しを目前で見られる交差点角の席は2万円で、これは高級ホテルのコンシェルジュなどにお願いすると手に入るかもしれないそうです。

 これらのプラチナチケットは、いずれ外国人富裕層向けのプレミア席へと発展しそうですから、奮発して購入するのであればチャンスは今のうちかもしれません。