インバウンド向けのビジネス化と
DX化が成長の鍵

 実際、これからの近未来を考えると祇園祭もそうですし、日本の祭りはインバウンド向けのビジネス化とDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進んでいきそうです。祭り自体は日本の伝統を維持しつつ、その観覧スタイルがAR(仮想現実)方面で進化して、外国人観光客を満足させるというイメージです。

 近未来の観光客は祇園祭についてもAR眼鏡やスマホを用いて、目の前で繰り広げられる山鉾の迫力を堪能しつつ、クリックで歴史や背景、山鉾を彩るタペストリーのいわれなど周辺情報を入手しながら楽しむようになるでしょう。

 祭りというものはそれ自体、その場で臨場感をもって参加することの楽しみがあるものですが、同時に、その祭りにまつわるたくさんの情報があればあるほど、より楽しいものです。以前であれば添乗員付きのツアーでなければ得られなかったそういった情報も、これから先、臨場感を損なわない形でDX化していき、さまざまな国からやってきた多言語の観光客を満足させるはずです。

 そして情報が増えれば増えるほど、外国人観光客はより行動的になり、京都市内の複数の観光地をはしごして、さらにたくさんの観光収入を地元にもたらすことになります。祭りの商業化、デジタル化、そして国際化は地元にとっては悪い未来ではないのです。

 さて、祇園祭では今週末7月24日の日曜日にも後祭の山鉾巡行が行われます。この後祭はことわざの「後の祭り」という言い回しの語源になったともいわれています。

 以前は前祭に比べて規模が小さいため「前祭を見逃してもう後祭しかない状況」を指したといわれるのですが、本格的に後祭が復活した2014年以降はそんなことはなく、後祭もなかなかに絢爛豪華(けんらんごうか)です。コロナ第7波の状況やご自身の体調などを見つつとなりますが、思い立ったら今週末、京都に行かれてみてはいかがでしょう。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)