気鋭のコピーライターとして活躍し、『あの日、選ばれなかった君へ 新しい自分に生まれ変わるための7枚のメモ』(ダイヤモンド社)の著者としても知られる阿部広太郎さんと、日本一多忙なグラフィックデザイナーと呼ばれ、『続ける思考 「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者としても知られる井上新八さん。二人のスペシャル対談が実現しました。さて、読書家としても知られる井上さんは、阿部さんにどんな質問を投げかけたのか?

青春期に孤独を感じた人が読むと、百発百中やられる本とは?Photo: Adobe Stock

日本一多忙なデザイナーが考えていること

――井上さんは日本一多忙なデザイナーといわれていますよね。

井上新八(以下、井上) 日本一多忙なのかどうか、自分じゃちょっとよくわからないんですけど(笑)、アシスタントなしで1人で年間200冊の本を自分でデザインしてるというので「忙しいんじゃないの?」って言われはじめたのかな、と…もうちょっと忙しい人いるような気もするんですけどね! 忙しいとはいえ、そんな仕事で忙殺されてるという感じではなく、毎日一本映画を観に行くぐらいの余裕があったり、毎日「ドラクエ10」とか「どうぶつの森」やってるとか、毎日やたらやってることがいっぱいあって。そのくだらないことをなんでやってるのか?っていうことをひたすら書いてるのが『続ける思考』という本なんですね。その本を出すにあたって、ブックデザイナーが「習慣の本」を書いてもあんま通りが良くないというか、分かりづらいだろうなと思ったので、「習慣家」っていう肩書きを自分で作ってみて、勝手につけちゃったんで。その職業が何なのか自分でもよくわかってないんですけど…そういう活動をぼちぼち考えてやっていこうかなと思ってるところです。

――その「習慣家」としてラジオとかにもたくさん出演されていて、結構そういう機会が増えてらっしゃるんですよね。

井上 そうですね。呼ばれるたびにそれは何だ、っていうことを聞かれますね。ついでにブックデザインの方もはじめて聞く職業だと言われるので、出版界の外だとあまり知られていないんだな、とここのところ気づきました。世間一般的には、どっちもよくわかんない職業をやっているということになりますかね(笑)

青春期に孤独を感じた人が読むと、百発百中やられる本とは?阿部広太郎(あべ・こうたろう)1986年生まれ。埼玉県出身。慶應義塾大学経済学部を卒業し、電通入社。人事局に配属されるもクリエイティブ試験を突破し、入社2年目からコピーライターとして活動を開始。2015年から、連続講座「企画でメシを食っていく」を主宰。オンライン生放送学習コミュニティ「Schoo」では、2020年の「ベスト先生TOP5」にランクイン。「宣伝会議賞」中高生部門 審査員長。「企画する人を世の中に増やしたい」という思いのもと、学びの場づくりに情熱を注ぐ。著書に『待っていても、はじまらない。ー潔く前に進め』(弘文堂)、『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』『あの日、選ばれなかった君へ 新しい自分に生まれ変わるための7枚のメモ』(ダイヤモンド社)、『それ、勝手な決めつけかもよ? だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。 撮影:小島真也

――阿部さん、『あの日、選ばれなかった君へ』はもう4冊目の著書ですよね。

阿部広太郎(以下、阿部) 本を出し続けられていることは、本当にありがたいことだなと思っています。1冊目の書籍を刊行するときはすごい「おめでとう!」って言ってもらえるんですよね。「すごい!本を出したんだね!」みたいに。僕はお笑いが好きなんですが、本を出すことと、「M-1グランプリ」で芸人さんが決勝進出を決めることと似ているのかなと思っていて。その機会が多くなればなるほど、初登場の際の驚きは少なくなっていく。だから、2冊目、3冊目、4冊目と出していくなかで、読み続けていただける人がいたり、新たな出会いがあったりすることには本当に感謝しかないですね。

井上 去年、発売直後に1回読んで、最近またちょっと最近読み直したんですけど、『あの日、選ばれなかった君へ』はもう読む前にちょっと怖いなって思った本だったんですよ(笑)。タイトルと帯のコピーを見て、なんかね、開いちゃいけないものが開く気がして、もう読む前から構えてたんですけど。もうね、読んだらね、ヤバかったですね。本当に自分の一番きつかった頃のことが一気にダーって蘇ってくる本で…。1日で読み切ったんですけど、もうダメージというか疲労感というか、もうちょっととてつもなく大きくて、なんかその日感想を書けなかったですもんね(笑)。この本は本当に開いてはいけない扉を開く本だと思いました。何かの本に「いい本を読むというのは、思い出すっていう行為に近い」というようなことが書いてあったんですが、もうまさにそういう本でしたね。僕も全く同じだと思ったのは、あの「卒業アルバムに自分の写真がない」っていう話…。

阿部 これまでの僕の人生で起こった絶対に忘れられない出来事を、「選ばれなかった」というコンセプトで書いたのが、この『あの日、選ばれなかった君へ』なんです。まさに、超がつくほど個人的な話であるからこそ、読んでくださった方の個人的な「思い出の扉」を開く鍵になっている感じがしていて、そういう感覚を抱いていただけること、読書体験になることは、書き手冥利に尽きますね。