「自分で考え、自分で動く」体験を

 とはいえ、現在の青稜は共学化しており、学校を取り巻く環境も昔とは大きく異なります。何よりも、今の生徒たちの感覚からすると、そこには違和感しかないのです。

「髪の毛を結ばないからといってボサッとした髪で学校に来る子なんていない」と何度も言われ、それなら一度トライしてみようかという話に落ち着きました。

 ただし、雑談の流れから簡単に校則を変えるのは生徒のためになりません。正式に生徒会から提案をして、学校と交渉してほしいと伝えました。学校のルールを変えるとなれば、生徒会が主導して変えるべきだと思うからです。

 そして、生徒会が作ってきてくれた改革案をベースに、そこから何度も話し合いを重ねました。パーマや髪の毛を染めることはNGなど、彼らなりに髪型の基準も考え、結果的に、現時点での望ましい髪型のルールが生まれました。ちなみにこの後、男子の頭髪の校則も見直されています。

 実現までに本当にいろいろな意見が飛び交いましたが、私はそのプロセスを眺めながら、生徒たちが自分を律しつつ、悩み、考え、目標の達成に向けて一歩ずつ前に進んで行くことは、本当に意味があることだと心から思いました。

 こうした経験から、彼らなりに「自分の意見を通し、人を動かす」にはどうすれば良いかということも考えられるはずです。