米連邦議会がこのほど可決した気候変動・エネルギー対策法案には、再生可能エネルギーの新興企業と化石燃料生産企業の双方に対する支出が含まれている。これは矛盾する内容にも見えるが、ウォール街で既に採用されている広範な戦略だ。ウォール街の金融機関は、二酸化炭素(CO2)排出削減に向けたプロジェクトに資金をつぎ込む一方で、直接融資・債権引き受け・インフラ投資を通じて石油・ガス会社への資金提供も続けてきた。ディールロジックによると、昨年の債券発行や融資を通じたグリーンエネルギープロジェクト向けの資金調達額と石油・天然ガス会社による調達額は約5700億ドル(約76兆円)で、ほぼ同額だった。今年の市場変動局面で両分野の資金調達は鈍化したものの、化石燃料用の資金調達額に対するグリーンエネルギー向け調達額の比率はほぼ同水準で推移している。