クリミア半島は長年にわたり、黒海におけるロシアの軍事力を支えるとりでだった。ウラジーミル・プーチン露大統領は2014年に併合すると、クリミア半島は永遠にロシア領土になると言明した。だが、足元で相次ぐ爆発やドローン(小型無人機)の侵入は、クリミア半島におけるロシア軍の弱みを露呈させるとともに、ウクライナにとっても、戦争の目的の一端となりつつあることを印象づけている。セバストポリにある黒海艦隊司令部を含め、ロシア占領地に深く攻め入った攻撃は、ウクライナ南部で進軍を目指すロシアの計画に狂いを生じてさせており、戦略の抜本的な見直しを迫られる可能性がある。軍事専門家や当局者はこう分析している。侵攻開始以降、クリミアと黒海艦隊はロシアがウクライナ南部の支配を目指す上で、兵力や軍装備、武器の重要な供給拠点となってきた。開戦当初、ロシアはほぼ全く武力を行使することなく、南部の町や都市を支配下に収めた。それ以降、ロシアはここからウクライナの都市や軍事施設に巡航ミサイルを発射。クリミア半島はウクライナ南部オデッサに西進し、モルドバとつなぐ陸橋を建設するというロシアの目標にとっても重要な役割を果たすとみられていた。
クリミアで露呈するロシア軍の弱み、戦況に変化も
有料会員限定
あなたにおすすめ