実際に何が起きていたかは2022年以降に明らかになった。それは韓国軍が、自衛隊の哨戒機と対峙し、レーダーを照射してまで、大和堆付近にいた北朝鮮漁船を北朝鮮まで送り届けたという信じがたい行動であった。

 しかも、こうした韓国政府の危険な行為が軍トップ、旧大統領府青瓦台の意向によるものであることが疑われる事態に進展した。

 18日付中央日報は、文在寅政権は、軍当局が低い高度で近接接近する日本の海上自衛隊機に対し、現場指揮官が追跡レーダーを照射するなど積極的に対応する指針を作っていたことが確認されたと報じた。

 与党「国民の力」の申源シク(シン・ウォンシク)議員によれば、韓国軍当局は2019年2月、「日哨戒機対応指針」を海軍に通達した。これは1月に作成した「第3国航空機対応指針」に1段階追加するもので、日本の軍用機が2次警告通信にも応じず近距離を飛行した場合、「追跡レーダー照射」で対抗するよう規定したものである。

 なお、再三韓国の領海・領空侵犯を続ける中国やロシアに対してですら、こうした指針はない。文在寅政権の日本に対する行動がいかに異常であるかわかるであろう。

 政府筋は匿名で、「同指針は青瓦台(旧大統領府)安保室が主導し、軍当局の原案よりも強硬に作った」と述べている。

 しかし、軍内部からは「日本と戦争しようということか」という批判が多く出ていたと言い、実際には前線の指揮官はその後も対立状況を作らないよう相互の動きを事前に知らせていたという。

 韓国軍は、文在寅政権の大統領府とは異なり、日韓で不測の事態が起きないよう自制に努めていたということである。筆者の経験でも、軍同士の関係は協力や相互交流を通じて友好的であったと記憶する。