ただし、韓国政府としては海自の国際観艦式出席には大きなハードルがある。韓国では、海自の旭日旗を日本帝国主義の象徴としてその使用を批判する向きがある。18年に韓国・済州島で開かれた国際観艦式では、韓国が日本に対し、旭日旗の掲揚自粛を要請。日本は参加を取りやめた経緯がある。

 こうした旭日旗反対運動を強く進めたのは文在寅政権であり、それに韓国国民が呼応したものである。とはいえ、いったん旭日旗が日本帝国主義の象徴として嫌われるようになると、これをもとに戻すことに感情的反発ができてしまう。尹錫悦政権はこうした感情をはねのける必要がある。

 それでも、韓国軍筋は旭日旗問題について、「自衛隊旗は国際的に認められている軍旗で、最近ハワイで開かれた『環太平洋合同演習(リムパック)』など、海軍と日本の海上自衛隊が参加する多国間演習でも当然使われた」として、海自旗を理由に日本の観艦式に参加しないことは合理的ではないと述べ、冷静な見方をしている。韓国海軍には海自の国際観艦式参加への抵抗は少ないだろう。

 今回の韓国海軍の国際観艦式参加は、文在寅政権の一時の感情的な反日を終わらせ、日韓の軍同士の関係正常化の出発点となろう。

海自哨戒機へのレーダー照射は
文在寅政権の意向か

 2018年12月、日本の排他的経済水域(EEZ)内にある日本海の大和堆付近にて海上自衛隊のP‐1哨戒機が韓国海洋警察庁所属の警備艇、韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」ならびに北朝鮮の漁船らしき小型の船舶を視認、写真撮影を実施していたところ、突然駆逐艦から火器管制レーダーの照射を受けるという事件が発生した。

 追跡レーダーの照射は、艦砲やミサイル攻撃につながりかねない極めて危険な行為である。日本は当然のことながら厳重に抗議した。これに対し韓国側は、当初「北朝鮮の遭難船のためにレーダーを稼働したのを日本側が誤解した」などとしていたが、その後「レーダー照射はしていない」と主張するなど、弁明が二転三転していた。