注目される捜査の行方と
刑事訴追の可能性

 政治ニュース専門サイト「ポリティコ」はトランプ氏宅の家宅捜索の4日後、「米国の政治的暴力の新時代」と題する記事を掲載した。

 これによれば、トランプ支持者の多くは今でも「2020年大統領選で大規模な不正があった」と信じているだけでなく、トランプ氏の「2024年再出馬を阻止しようとするたくらみ(陰謀)がある」と考えている。そして一部の共和党議員がこの陰謀主導の世界観を擁護し、推進しているというのである。

 この世界観に照らして考えてみれば、今回の家宅捜索はそのたくらみの一環ということになるかもしれない。

 注目すべきは、今後の捜査の行方とトランプ氏の刑事訴追の可能性である。

 トランプ氏宅からは11点の機密文書が押収され、そのうちの一つは最も重要な機密情報とされる最高機密「SCI」と記されていたという。

 トランプ氏はこれらの機密文書について、「退任前に機密解除した」と説明した。

 しかし、トランプ政権下で国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたジョン・ボルトン氏は、「それは明らかにうそです。機密解除をするには1点1点書類を作成し、皆に知らせる必要があるのです。そうした文書も手続き上の記録も全く存在しません。こんな作り話をするのは必死になっているからでしょう」(ABCニュース、2022年8月15日)と、きっぱり否定している。