高速道路の看板広告には
なぜ郊外の歯科医院が多いのか

 高速道路の看板広告には東京郊外の歯科医院が多い。しかし、歯科医院はコンビニ以上に数があり、狭い商圏でしか集客できない。それでも広告を打つのはどれほどの効果があるのか、理解に苦しむ。筆者の私見ではあるが、自己顕示欲や自己満足のために行っているようにもみえる。

 しかし、こうした歯科医院があるおかげで、看板広告を営業する側は、「歯科医院が多くの広告を出しています」という営業資料が作れる。こうして、横並びで他の歯科医院も看板広告を出すことになり、ますます歯科のシェアが伸びる。

 効果に疑問があるのにこうした事実を利用して広告営業する方法は、マンションのブランド広告でも幅を利かせている。「御社は女性への認知が低い」とか、「Z世代への訴求ができてない」とか、そんな数字は他社との比較などでいくらでも作ることができる。しかし、その数字の最も重要な広告効果はうやむやにされている。そもそも、Z世代は広告を信用していないし、マンション購入年齢には10年以上早い。

 こうして、売り主の自己満足により広告予算が計上されることになる。

 ブランド戦略で重要なことは、認知向上のためにイメージ広告をすることではなく、物件の魅力やこだわりをしっかりと伝えることである。逆にブランド広告ばかりが目立つ会社の物件を購入するのは、広告コストの分だけ割高になっていると考えておいた方がいいだろう。