1位~3位は昨年に比べて大幅アップ
4位と5位の総合商社は昨年より減少

 22年、栄えある1位となったのはM&Aキャピタルパートナーズで、平均年収は2688.4万円だった。同社は中堅・中小企業をメインターゲットとしたM&A(企業、事業の合併・買収)の仲介、アドバイザリーやデータベース提供などで急成長している注目企業である。しかも平均年齢が32.2歳で、今回ランキングに入っている1000社の中でも8番目に若い企業だ。

 昨年の年収が高い会社ランキングでも1位で、平均年収2269.9万円と他社に圧倒的な差をつけたが、今年はさらに418.5万円上がった。大幅アップの理由は、「業績が社員の給与に反映されやすい」という同社の特徴によるものだ。どういうことか。

 同社の従業員の給与は「固定給+インセンティブ+業績連動賞与(年2回)」で、インセンティブは上限がない。つまり、結果を出したら出した分だけ年収が増える仕組みのため、業績が良ければ、高年収につながる。同社の21年9月期の売上高は、151.6億円で前期比27.7%の増収。M&Aの成約件数が172件あり、そのうち報酬総額が1億円を超える成約が36件あったことなどが主な要因だ。

 M&A仲介という業種柄、優秀な社員がどれだけいるかが、収益の鍵を握っている。そのため、優秀な人材を引きつけるための高い年収(インセンティブ制度)が重要視されているようだ。

 2位は検出・計測制御機器大手のキーエンスで、平均年収は2182.7万円だった。昨年のランキングでも2位で同1751.8万円だったので、430.9万円の大幅アップとなった。

 同社の平均年収が2000万円台になるのは、新型コロナウイルスの感染拡大が本格的に始まる直前の19年3月期(平均年収2110.7万円)以来、3年ぶりのことだ。22年3月期の売上高は7551.7億円で、前期比40.3%増。コロナ禍から徐々に正常化する動きが国内外で見られ、国内で設備投資や生産が持ち直したことなどがプラスに働いた。

 3位は旧富士銀行(現みずほ銀行)系の大手不動産ヒューリックで、平均年収は1803.3万円だった。1位、2位と同様、ヒューリックも去年より平均年収がアップしていて、昨年の1708.2万円から95.1万円上がった。

 一方、4位と5位の総合商社は高年収ではあるものの、昨年に比べると減少している。

 4位は伊藤忠商事で平均年収は1579.8万円、前期比3.0%減。5位は三菱商事で平均年収は1558.9万円、前期比7.1%減だった。なお、昨年は4位が三菱商事で、5位が伊藤忠商事だった。

 今回、年収が1000万円を超えた企業は73社(このうち、2000万円台が2社)あった。業種別にこの73社の傾向を分析すると、最も多かったのは在京の民放テレビ局などを含む「情報・通信」で13社だった。次いで大手商社を含む「卸売業」が8社だった。そしてM&Aキャピタルパートナーズなどを含む「サービス」とキーエンスを含む「電気機器」がそれぞれ7社だった。

 また、都道府県別で見ると東京都が圧倒的に多く65社で、次いで大阪府が3社、神奈川県、山梨県、埼玉県、広島県、愛知県がそれぞれ1社だった。では、次ページ以降で6位以下を一挙に公開する。

(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)