ドルが対円で24年ぶりの高値を付けたことは、退職後の蓄えの大半をドル建て資産で運用している日本の資産家にとって朗報だ。その中で最大の資産家は日本政府である。政府は今、この思いがけない利益の取り扱いを巡り、ドル資金の一部を売却すべきかなどの決断に迫られている。日本政府の「貯金箱」は、世界最大規模の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)で、その運用資産額は6月30日時点で193兆0126億円(1兆3400億ドル相当)に上る。全米最大の年金基金、カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)の約3倍の規模だ。GPIFは10年近く前、2050年代には国民5人のうち約2人が65歳以上になる日本のために、より積極的な運用を通じてリターンを確保する必要があると判断した。現在は運用資産に占める外国株式・債券の割合が約50%となっている。こうした外国資産で最大の割合を占めるのが米国の国債や債券、上場株だ。