新型コロナウイルス禍にロシアのウクライナ侵攻、そしてアジアで高まる地政学リスクが世界のサプライチェーン(供給網)を混乱させている。このため、主要な調達先の国内回帰が再び活発化。とりわけ、製造業の一大拠点である中国から移転させる動きが加速している。中国との経済的つながりを断つ完全な「デカップリング」の可能性はなお低いものの、サプライチェーンはこれまでと比べ統合されたものとはならないだろう。このことは企業と消費者ばかりか、恐らくは長期のインフレ見通しにも多大な影響を及ぼす。欧州で提案された2つの法案がまさに好例と言える。欧州連合(EU)は14日、強制労働によって生産されたとされる製品を禁止することを提案した。中国を名指ししてはいないものの、新疆ウイグル自治区で疑われている強制労働が主なターゲットであることは明らかだ。ここ数週間に発表された、いくつかの国連報告書もそうした動きを後押ししている。国連の専門家は、新疆で強制労働が行われていると「結論付けるのは妥当」とする報告書を発表した。また、国連人権高等弁務官事務所はウイグルやその他のイスラム系少数派に対して、中国は犯罪を行っていると指摘した。中国はそうした嫌疑を否定している。
「中国抜き」サプライチェーンの現実味
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