民間保険には頼り過ぎずに
貯蓄と2本立てで医療費の準備を

 長引くコロナ禍で、自宅療養に備えて新たに民間の医療保険に加入した人は、この見直しに、はしごを外されたような感情を抱いているだろう。

 だが、前述のように、そもそも入院給付金は、病気やケガをして医療機関に入院した場合に給付を受けられるものだ。今回は、パンデミックという状況下で、保険約款の解釈を拡大して、特例的に給付を行っていたにすぎない。

 このように、民間保険の給付金を支払うかどうかを決めるのは、あくまでも保険会社で、その契約の支払い事由を満たさなければ、たとえ保険に加入していても給付金を受け取ることはできない。特に掛け捨ての医療保険は、保険料を消費するだけになってしまう。

 こうした状況を見ると、万一の医療費や生活費の保障を民間保険に頼り過ぎるのは禁物だ。同時に考えたいのが、普段から貯蓄を増やしておくことだろう。

 おすすめは「医療費貯蓄」で、生活口座とは別に、医療費貯蓄専用の口座をつくって、毎月5000円や1万円などの一定額を積み立てていくというものだ。

 民間の保険商品は、保険会社が決めた支払い要件を満たさないと、お金を受け取ることはできないが、貯蓄なら理由に関係なく自由に引き出して使うことができる。給付を受けるために、医師に診断書を書いてもらう必要もなく、必要なときにすぐにお金を用意できる。

 今後、民間の医療保険に加入していても、COVID-19のみなし入院で給付を受けられるのは一部の限られた人だけになる。これを機会に家計を見直して、万一の療養に備えて医療費貯蓄を始めてみてはいかがだろうか。