購入はレンタル感覚、短期売買で合理的

 次は、生活コストを削減してくれる中古品の活用法について触れよう。

 メルカリ総合研究所の調査「2022年度フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動」によると、商品購入において「新品であること」を重視するとの回答は前回調査より減ったという。「一時的に必要なモノは中古品がいい」と答えた割合も、前回より5.3ポイントと大きく上昇した。さらに、53.0%が「中古品の購入・使用に抵抗がない」と回答し、こちらも前回調査から上昇している。

 消耗品や使う期間が短い物は中古品で十分、新品を買う分のコストを節約できるのだから満足度も上がるということだろう。

 フリマアプリを日常的に使う世代にとって、物の価格は、「代金」ではなく「使用料」という感覚になって、すでに久しい。2018年時点のメルカリの調査では「商品を購入する前にいくらで売れるか調べる」ユーザーが多く、新品の値段がたとえ高くてもそれなりのリセールバリューが付けば、売れたときの価格との差額だけ払えばいいとコスパを考える。安い物を選ぶより、高く売れる物を買うほうが結果的にトクだと考える人が増えてきている。

 自分がアイテムを使った期間の「使用料」という認識が強まると、さらにレンタル感覚に近くなってくる。

 例えば、ほんの数日だけ使う目的でフォーマルなスーツや靴をフリマアプリで買い、使い終わったらすぐに売る。興味のある便利家電やダイエット器具をお試しのつもりで買い、自分に合わなければ出品すればいい…。

「持たない暮らし」を目指す世代にとって、まさに「必要な物は必要な期間だけ」あればいいし、いきなり新品で買うより中古品を買って性能や効果を確かめるほうが、お金をムダにしない合理的な消費スタイルだという考え方だ。

 また、持ち物を捨てずに次に回す行為は、捨てることへの罪悪感を持たず済む。SDGsやリデュース・リユース・リサイクルの循環型社会に貢献している気分も味わえる。「ケチくさい」ことをしているのではなく、限られた資源をシェアし合う持続可能な暮らしにつながる行為なのだ。

 この先、節約の王道は「なるべく安く買うこと」から、「リセールバリューが高く付く物を買う」ことへシフトしていくかもしれない。

 そして、長く持たずに手放し、次の人へ渡す。昭和世代もその思考を身に付けなければ、この物価高を乗り切れないようだ。