士業の格は頂点が弁護士、最下位は社労士といわれ、それは稼ぎにおいても同様だ。ところが、そんな序列をひっくり返すような稼ぎ方をする“勝ち組”社労士が存在する。果たして、どのような仕事をしているのか。特集『会計士・税理士・社労士 経済3士業の豹変』(全19回)の#17では、勝ち組社労士の稼ぎっぷりに迫った。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
士業で序列最下位の社労士
年収1億円も夢じゃない!
社会保険労務士は社会保険や労働保険、年金に関する手続きと相談、雇用に関する助成金申請などを業務とする、人事・労務管理の専門家だ。
ところが弁護士や公認会計士など主要な士業の中では、序列最下位といわれる。元をたどれば行政書士から派生した国家資格で、1968年に誕生した歴史の浅さが、その理由だ。
最下位なのは、稼ぎにおいてもそうだ。下図を見ると、社労士は年収500万円前後で推移し、2019年には486万円となった。
新型コロナウイルス感染症のまん延により20年春から始まった雇用調整助成金の申請ラッシュは、多くの社労士の年収を上振れさせたはずだ。助成金業務は社労士の独占業務の一つ。しかも、助成金は不正がなければ確実に支給されるため、顧問先などの申請を手掛ければ、確実に手数料を稼げたからだ。
だが、そんな“雇調金バブル”も、社会全体がアフターコロナへ移行する中で終焉が間近だ。
社労士の登録者数は21年9月末で4万4063人。21年度の試験合格者数は3000人に迫る勢いで伸びており、社労士人気が継続している。
一方で、SmartHRなどHRテック企業の成長で、企業の人事・労務管理にはDXの波が押し寄せている。その影響で多くの社労士たちは「企業の顧問料金相場は下落することが確実」と危機感をあらわにしている。年々増えるライバルに勝てる知識と経験を持ち、さらにDXに対応できなければ、上記の平均年収500万円を稼ぐことさえ難しい時代になっているのだ。
ただし、特定行政書士で士業へのコンサルティング経験が豊富なパワーコンテンツジャパン代表取締役の横須賀輝尚氏は、「社労士の業務の中で、専門性の高いコンサルティングができるようであれば、年収1億円も夢ではない」と指摘する。
そこで次ページでは、士業序列をひっくり返し、企業から細々と顧問料金を得る社労士とは一線を画す、「稼ぐ社労士」の仕事を探った。一体どのような能力を備え、どのような仕事を引き受けているのだろうか。