序列激変#12Photo:PIXTA

実際に社労士に仕事を頼むと幾らかかるのだろうか。また、付き合うべき社労士の見分け方については、どのようなポイントがあるのか。特集『弁護士 司法書士 社労士 序列激変』(全19回)の#12では、顧問料やスポットでの手続き依頼について料金相場と、いい先生の見分け方を指南する。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

かつての料金規制が撤廃されても
価格とサービスの競争が起きない理由

 士業の世界にはかつて、料金規制が存在した。社会保険労務士業界では、全国社会保険労務士会連合会が報酬基準を設け、街の社労士たちはその料金基準にのっとって、仕事を請け負っていた。

 それが撤廃されたのが2003年だ。社会保険労務士法の改正によって、社労士業界では価格とサービスの競争が可能となっている。

 だが、実際に価格とサービスの競争が起きているとはとても言えない。“可能となっている”と書いたのはそのためだ。

 社労士法人の多くは、社労士1人に事務員数人のような「1人事務所」だ。料金規制が撤廃される前の時代からほとんど変わらないまま、細々と運営している社労士は多い。

 そんな社労士にとっては、仮に価格競争を仕掛けて大量の仕事を獲得しても、そもそもそれをさばくためのマンパワーが足りない。つまり、安い料金で多くの仕事を引き受けるインセンティブが働かないのだ。

 これは複数の社労士と事務員数人で構成する合計20人程度の中堅事務所にとっても同様だ。だから社労士業界では、価格とサービスの競争は起こり得ないのだ。

 大規模な組織化を図り、価格競争力を売りにしたり、戦略的にサービス開発を行ったりしている社労士法人は、SATOグループなどのごく一部だ(#10『社労士最大手・SATOグループ代表が明かす、「良いものを安く」の“非常識”経営』参照)。

 だが、先述したように社労士業界では価格とサービスが自由化されている。もし、普段から付き合いのある社労士の価格やサービスに満足できないなら、価格交渉やサービス内容の拡充などの相談をしてみるべきだ。“先生”だからといって気を使う必要などない。

 次ページ以降の料金相場を参考にしながら、自社に合った社労士を選び、料金に見合った働きをしてもらうすべを身に付けよう。