日本の五大法律事務所には、司法試験合格者のトップ層が毎年入所する。彼らには1年目で年収1200万円、30代で3000万円を超える業界トップの高待遇が約束されるが、そんな五大を退所する弁護士も後を絶たない。特集『弁護士 司法書士 社労士 序列激変』(全19回)の#3で、その理由を探った。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
五大法律事務所の新人弁護士は210人
法曹界エリートの「出世とカネ」を解明
文系最高峰の司法試験に合格し、さらにその成績上位層のみが入所を許されるのが、五大法律事務所だ。2020年末に司法修習を終了し、五大に入所した新人弁護士は計210人。彼らは今後、どのような弁護士人生を歩むのか。
例えば長島・大野・常松法律事務所の場合、入所後約6週間は集合研修が行われる。ここでは企業法務の講義だけでなく、ビジネスマナーの座学やプレゼンテーションの演習などのプログラムが用意されている。多くの企業をクライアントに抱える五大で働く弁護士は、法律の専門家であると同時に、ビジネスマンとしての心得も習得しなければならないのだ。
中小規模の法律事務所に勤務する場合、新人弁護士は居候弁護士、いわゆる「イソ弁」として所長の「ボス弁」に仕えるが、大手ではイソ弁を「アソシエイト」という。そしてボス弁に代わる存在が「パートナー」だ。
一般企業の役員に例えられるパートナーは、五大のような大規模事務所には100~200人規模で存在し、事務所の共同経営者として各案件の取りまとめ役を担う。
五大の新人弁護士は彼らパートナーの下で補佐的な業務に従事することになるが、ここが弁護士としてのキャリアの最初の分かれ道となるようだ。