社会保険労務士法人や行政書士法人などを傘下に持つSATOグループ。代表の佐藤良雄氏は“良いものを高く”が常識の士業の世界で、“良いものを安く”というモットーを掲げ、グループを拡大している。特集『弁護士 司法書士 社労士 序列激変』(全19回)の#10では、他の社労士法人と一線を画す、SATOグループの戦略を佐藤良雄CEOに聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 片田江康男)
国民の危機、国家の危機で
働かない士業はおかしい
――社会保険労務士業界は、業界内外から「バブルだ」という声を聞きます。バブルなんでしょうか。
今がバブルかというと、そうは思わないですけど、ビジネス環境は悪くないと思いますね。
昨年から新型コロナウイルス感染拡大に伴う雇用調整助成金(雇調金)の申請代行の需要が多くあり、これはバブルでしたね。社労士の収入を一時的に押し上げたのは事実です。
雇調金は、当時は厚生労働大臣だった加藤(勝信)官房長官から直接電話を頂いて、支給要件の緩和や手続きの簡素化について私たちから案を提出したんですよ。(詳しくは#2『社労士業界が雇用調整助成金バブルに沸く一方で「大淘汰時代」幕開けの理由』)
――全ての社労士が、雇調金の申請代行を手掛けたわけではなかったようですね。不正受給が行われた際に、連帯債務が発生するのでリスクがあるという理由で、申請代行を引き受けなかった社労士の方もいたようです。
国民の危機、国家の危機ですよ。にもかかわらず、国から資格をもらって、独占業務を許されているのに、リスクがあるからやらないのはおかしいですよ。私は資格者がこれをやらないで、いつ使命を果たすのかと思いました。
だから力を入れました。おそらく日本で最も申請代行を行ったのではないでしょうか。
――雇調金以外の助成金が、雇用維持のために2021年度、22年度も出てくるのではないかという観測もありますが、どのようにみていますか。