車の買い替えなども
視野に入れて試算

 続いて、ご夫婦の趣味や住宅関連の支出も試算していきます。「月間支出」の欄に「車関係」の記載があるため、よくドライブに行かれるのかもしれません。その場合は、10~15年に1回のペースで、車の買い替えが発生するでしょう。

 高齢になった後は運転しない可能性も考慮し、買い替えのペースは「1回当たり350万円×4回」(計1400万円)とします。

 また、持ち家を購入済みとの事ですが、Fさんご夫婦の年齢を考えれば、給湯器、トイレ、ガスコンロなどの取り替えが2回以上はあると思われます。

「年間支出」に記載のある家電製品の購入にプラスして、こうした自宅の什器(じゅうき)・備品関連の支出が合計300万円ほど発生するとします(それでも少ないかもしれませんが)。

 まとめると、こうした車や自宅の什器・備品の買い替え費用の合計は1700万円です。前述した教育費を加えると、年間・月間支出以外の一時的な費用は計3500万円が見込まれます。

Fさんが望むプランを実現するには
追加で7322万が必要

 次に老後資金です。Fさんは「余裕ある老後生活を過ごしたい」という希望を書かれていますが、老後の支出金額などには言及がありません。

 そこで今回は、生命保険文化センターが公表している意識調査結果(令和元年ベース)を引用して試算します。

 この調査では、一般消費者が夫婦2人で老後生活を送る際に「ゆとりがある」と感じる生活費は「月36万1000円」という結果が出ています。

 試算では、ご主人が65歳、Fさんが57歳の時点で、お二人とも仕事を引退して上記の水準で生活していると仮定します。その場合の年間支出額は、433万2000円(36万1000円×12カ月)になります。

 ただ、今は「人生100年時代」とはいえ、お二人が100歳を過ぎる頃には、年齢とともに支出が減っているかもしれません。逆に、施設への入居などによって増えているかもしれません。

 そのあたりの状況までは予測できないので、今回は便宜上、433万2000円の年間支出は「ご主人が100歳になるまで」続くものとして試算します。それ以降の家計収支は、またの機会に試算できればと思います。

 ご主人が100歳になるのはリタイアから35年後で、35年間の合計支出額は1億5162万円(433万2000円×35年)です。

 公的年金の受給額は、令和4年度の新規裁定額より多い月27万円、年間324万円とします。人生100年時代を見据えた受給額の合計は、35年間で1億1340万円に上ります。

 老後の支出合計が1億5162万円、収入合計が1億1340万円ですから、このままでは3822万円が不足しています。

 この不足額に、先ほど試算した教育費などの一時的な費用(3500万円)を加えた7322万円が、Fさんが希望するライフプランを実現するために必要な金額です。

 今のFさん夫婦には3400万円の貯蓄があることから、7322万円から3400万円を差し引いた3922万円をこれから準備することになります。

 現在ご主人は48歳、Fさんは40歳です。一つの目安として、ご主人が60歳、Fさんが52歳になるまでの12年間は、お二人とも今のペースで働く前提で試算を進めます。