スチュワート・バターフィールド氏は、成長中の新興企業の共同創業者だった――熱心なユーザーを抱え、愛される製品があり、数百万ドルの余剰資金を持つ企業だ。その時、彼はある興味深い決断を下した。会社を辞めたのだ。バターフィールド氏は2012年11月の日曜に眠れぬ夜を過ごし、月曜の朝、投資家たちに資金を返却すると告げるメールを送った。彼のゲーム会社が彼自身や投資家の時間を費やした分だけ、経済的な成功を収める可能性は低いと判断し、これ以上時間を無駄にしてはならないと考えたのだ。その直後から、次なる目玉を探し始めた。程なくして彼の会社が社内コミュニケーション用に開発したソフトウエアを思い出した。それはまともな名前も持たない、思いつきの産物だった。辞めて2日後の水曜には、「Searchable Log of All Conversations and Knowledge(全ての会話や知識の検索可能な記録)」の頭文字を名称に選んだ。今やビジネスチャットツールとして有名な「Slack(スラック)」だ。