さらに、北朝鮮は核実験の準備を終えていると言われている。

 北朝鮮の核・ミサイル開発とその実験は、計画に基づき進められているように思われる。ミサイルの連続発射は、核実験に対する日米韓や国際社会の対応を見極めるものでもあろう。

 核実験は止められない可能性が高い。しかし、日米韓は連携して、それが極めて危険な行為であることを北朝鮮に認識させる行動を取ること、中国に対し北朝鮮けん制の必要性を認識させることが、求められている。

核・ミサイル保有に向け
北朝鮮は着実に前進

 金正恩氏にとって、核・ミサイルの保有は自らの生存をかけた大事業である。

 北朝鮮は、2021年1月の第8回朝鮮労働党大会で、「最大の主敵である米国を制圧・屈服させることに焦点を合わせる」と表明した上で、米本土を狙ったICBMの高度化や原子力潜水艦、戦術核兵器の開発にも言及し、非核化に応じない姿勢を鮮明にした。

 22年4月、金正恩氏が労働党トップに就任し10年を記念する日には「国家核武力の歴史的大業を実現した」として成果を誇示した。

 9月8日の北朝鮮の最高人民会議では、核による先制攻撃を容認する法律を制定した。それは、他国からの核による攻撃が迫ったり、通常兵器であっても国家指導部と国家核戦力指揮機構に対する攻撃である場合を想定している。

 北朝鮮外務省は「先制攻撃は米国の奇襲攻撃に勝つことのできる唯一の方法だ」と指摘しており、北朝鮮国防委員会も「米国が北朝鮮体制の崩壊に向けて軍事作戦や斬首攻撃を敢行すれば、北朝鮮は先制的かつ公正的な核攻撃で反抗する」と警告している。

 北朝鮮は既に核保有を前提に戦術を考えているようである。