北朝鮮の弾道ミサイル発射は
実験ではなく実戦配備を想定

 北朝鮮の一連の弾道ミサイル発射も、既に実験段階から核を搭載した実用段階に移行している、と考えるべきだろう。

 米韓情報当局によると、北朝鮮がこの間に発射したミサイルは、「プルアップ機動」(ミサイルが下降中に再上昇)が可能な機種であり、パトリオット(PAC3、MSE)や高高度防衛ミサイルシステム(THAAD)体系など、米韓のミサイル防衛システムを無力化する懸念のある新型戦略武器である。

 北朝鮮は多種多様で戦術核搭載が可能なミサイルを発射することで、米韓による拡大抑止が有効でないことを示しているのかもしれない。米韓が拡大抑止カードを活用して圧力を加える場合、北朝鮮も武力示威の程度と頻度を高めて対抗することになろう。

 9月25日と28日のミサイル発射は、米原子力空母「ロナルド・レーガン」が釜山に寄港、米韓合同演習、日米韓対潜水艦訓練に参加しているのに合わせたものであるが、これまで北朝鮮は、米原子力空母寄港の際には挑発を控えており、この間のミサイル発射は初めてのことである。米韓に対抗できるとの自信をのぞかせたものである。

 また、29日の2発のミサイルは夜間に発射されたが、これは一日中いつでも発射できることを意味し、「実戦配備」が可能となったというメッセージといえる。