開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺を中心に都内に展開する進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、「国語の成績を伸ばすコツ」について特別に一部を抜粋して紹介する。
中学入試の国語で求められるのは「大人力」
以前の中学受験の国語は、故人となっているような昔の文学者の作品から出題される傾向がありました。ところが、最近は傾向が変わってきており、池井戸潤さんの半沢直樹シリーズや大泉洋さんのエッセイなど、「流行りもの」が増えています。米津玄師さんの「Lemon」の歌詞が取り上げられたこともありました。
そこで求められているのは、古典に限らず今の社会で受け入れられている文章をさらっと読めてしまう力です。言ってみれば、「なんでもこい」の大人力です。こうした守備範囲の広い分野での読解力を身につけさせるには、普段から関心の幅を広くしておくしかありません。
親が子どものアンテナを広げる手助けを
特にひとりっ子の場合、本人の興味にまかせていると、関心の幅が狭くなってしまう危険性がありますので、意識的に世界を広げてあげましょう。
このとき、親自身がアンテナをかなり広げておかないと追いつきません。中学受験で求められているのは、親が考えている「12歳らしさ」とは異なります。
ありとあらゆるチャネルを駆使して、子どもに情報を与えましょう。なにかと批判されるYouTubeですが、ひとりっ子が関心の芽を探すツールとしてはありだと私は思っています。
付け焼き刃の学習では、国語の入試を突破できない
とくに男子校の入試では、「マクロな意味でこの文章はなにを言っているのか」を問う、大きな読解力を求める国語問題が増えています。比較して女子校の場合、作品名や作者名、内容について選択肢が与えられているなど、細かい知識を問う出題も多いのですが、それでも、近年は、男子校と同じような傾向になってきています。
そこでは、マクロの視点で文章を読み、自分の言葉で長い文章を書くという作業が必要になります。しかも、題材として取り上げられる本のレベルがとても高くなっています。
つまり、これからの中学受験の国語は、男女問わず難解な長文を読ませ、「本当に読めているか」「本当にわかっているか」を見る方向に進んでいるということです。これは決して悪い流れではないと私は思っていますが、付け焼き刃の学習では対応できなくなるということです。
本を読んで感想をまとめる練習をする
幼い頃からの読書習慣がとても重要になってきます。と同時に、本を読んだら、その子なりの感想を口に出したり、書き出したりする練習をさせましょう。
それによって、「本当に読めているか」「本当にわかっているか」を確認することができます。
(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)