コロナ禍で、「時産」が多くの人に必要になっている
「時産」を世の中に定着させるための取り組みを続ける「ゆとりうむプロジェクト」は、立ち上げから3年たった現在(2022年)を「フェーズ2」としている。まずは、「ゆとりうむ」の存在を、企業関係者をはじめ、世間一般に知ってもらうことが大切だと長沢さんは言う。
長沢 「ゆとりうむ」を生活者の皆さんが知っているようにしたいのですが、認知度は低いですね。インフルエンサーさんにもご尽力いただきながらインスタグラムなどを続けているものの、フォロワー集めに苦労しています。メディアの取材に応えたり、参画企業さんのニュースリリースで「ゆとりうむ」をご紹介いただいたり、プロジェクトの理事の方々に発信していただいたり……と、ゆとりうむプロジェクトが社会に知られるように、関係者のみんなで尽力しているところです。
ゆとりうむプロジェクトの説明資料や長沢さんの言葉の中で繰り返される「時産」――改めて、その意義を尋ねた。
長沢 「時産」は、手段ではなく、目的です。「時短」と言ってしまうと、 “時間を短くする”ためのプロセスがフォーカスされ、「手抜き」を連想させるようなネガティブな印象を与えがちですが、“時間をうむ”という捉え方にすれば、良い印象になります。うまれた時間で物理的な余裕ができ、それが精神的な“ゆとり”をもたらすはず。コロナ禍で、社会全体の余裕がなくっているような状況ですが、心にゆとりを持つことで、仕事も家庭生活も良い方向に進んでほしいと私は思っています。たとえば、下味冷凍によって、「時間が楽になった」「生活にゆとりができた」という声を多くの方からいただいていたり……「時産」は、皆さんが関心を持たれるテーマであり、ゆとりうむプロジェクトにはそのためのノウハウが蓄積しています。
新型コロナウイルス感染症の拡大で、私たちの家庭生活や仕事のスタイルはさまざまな変化を余儀なくされた。“時間を無駄にしない”“物事の価値を考える”といった姿勢が生活者に強く表れ出てきたことは、ゆとりうむプロジェクトの追い風になっているのではないか?
長沢 コロナ禍前は、単に、“時間を有効的に使おう”という考えが社会全般にある程度でしたが、コロナによって、“生活を見直す”姿勢が生まれ、「ゆとりうむ」の考え方が共感されやすい風潮になってきたと思います。実は、「ゆとりうむ」という名前を付けた当初は、「ゆとり」イコール「ゆとり世代」といったイメージがあって、好意的にとらえない声もありました。でも、社会情勢が変わり、「ゆとり」という言葉や概念がポジティブなものとなり、余裕を持って物事に取り組むことが重視されるようになりました。「ゆとりうむ」はそれを手助けするプロジェクトです。エッセンシャルワーカーの方はテレワークができない場合も多く、家事時間にゆとりを持てるかどうかが大切ですし、テレワークの方は在宅における仕事時間と家事をうまく使い分けることを考えています。いま、「時産」が、多くの方に必要なのです。