今年上半期の米国内総生産(GDP)が示した景気判断は、現実より悪いものだった。7-9月期のGDPに関しては、おそらく逆の状況になるだろう。米GDPは1-3月期および4-6月期にマイナスとなったが、米商務省が27日発表する7-9月期は、年率換算で前期比プラス2.3%(インフレ調整済み)になるとみられている(ウォール・ストリート・ジャーナルのエコノミスト予想)。連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続やインフレ高進、株価の急落、住宅市場の低迷が見られた四半期としては、かなりの回復と思われるだろう。だが、GDPの数字を詳しく見れば、おそらく違う見立てが示される。1-3月期のGDPが年率換算1.6%減となったのは、貿易赤字の拡大と政府支出の減少が原因だった。4-6月期の0.6%減は、在庫の変動と、やはり政府支出の減少が主因だった。一方、経済における潜在需要をより正確に反映する民間最終消費支出は、1-3月期が年率換算2.1%増、4-6月期が0.5%増だった。GDPが2四半期連続で減少すれば景気後退と考える見方が多いにもかかわらず、GDPが重要経済指標となる前から米国の景気後退を判断してきた全米経済研究所(NBER)が景気後退を宣言する気配を見せないのはこうした事情がある。